吉祥草

キチジョウソウ(吉祥草)                                            

 

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 花が咲くと幸運が舞い込むという言い伝えのあるキチジョウソウ。花言葉にも「吉事」「喜び」「祝福」といった縁起のよい花言葉がつけられています。繁殖力も強く、木々の根元やお庭のグランドカバーにもおすすめの植物です。 

 中国または日本を原産とするユリ科多年草です。ただもともと古代に中国から日本へ渡来したものが野生化したという説もあります。 現在では関東地方以西の低地や樹林内で見られ、繁殖力も高い植物です。ヤブランと葉の形などが似ており、半日陰でも丈夫に育ちます。開花時期は、9月~12月頃、背丈は10~30cmほどで、淡い紅紫色の花を咲かせます。日なたでは薄緑色ですが、日陰育つと葉色が濃い緑色になるなど、生育場所によって葉色が変化します。

 お釈迦さまが菩提樹の下で悟りを開かれた時に、吉祥草を敷いて座したお話の一部をご紹介します。

河口慧海全集・『釈迦一代記』から (著者:河口慧海

(原文)ーーー太子(悉達太子しったたいし=お釈迦さま)は菩提樹の下にある菩提道場金剛寶座に着かれて、草を敷いて座せようと考へられた時、そこに一人の草刈りが刈った吉祥草を負ふて来た者があった。太子は直ちに彼に対して言はれた。                                             草刈り人よすみやかに  我に與えよ吉祥草                                      今日こそ我にこの草は  大なる用をなすと知れ                                   五蘊や病や死などと   倶に住する大魔王を                                    降伏なして上妙の    寂滅菩提を成就せん                                  と仰せられたので、 草刈り人は大いに喜んで青く美はしく柔らかき吉祥草一抱へ差し上げました。太子はそれを受けられ、自らそれ等の葉先を内部に向けて、厚薄なく圓く敷座を作られました。                                                                                       このように草座を作って、その上に結跏趺坐して、東方に向かって明確なる観念に住して自ら誓はれました。                                                                 たとひ我身はこの座上に  朽ちはつるとも骨肉の                                  破るるとても生命の    終わらんとても一切の                                  苦患を破る最勝の     無上菩提を成ぜずば                                 この座を起じ動くまじ   この座を起じ動くまじ                                と宣言せられましたが、これが丁度太子が三十五歳の四月八日の午後でありました。ーーー  

(インドに自生する吉祥草の背丈は、日本国内で見られるものより、ずっと大きいものと想像されます)