アジサイとアナベルの挿木と育て方

雨に濡れたアジサイの美しさには心打たれるものがあります。また最近あちこちで見受けられる大きな白のアナベルの迫力にも圧倒されます。アジサイの挿木はあまり難しく考えなくても良く活着しますが、他の植物全般にも応用できるところもあるかと思い、1枚にまとめられる範囲で、少し詳しく説明します。 

挿す時期、場所と土 梅雨時・5/下~7/上。《アナベルは、葉が大変大きく茎も長いので注意を要する。葉のない3月中旬頃に剪定した枝を挿すと、梅雨時よりも容易に活着する。》 

◎ 挿す場所は鉢なら浅鉢か3号ポットに。(1号は直径3㎝) 小さい方が根の回りが早い。市販の挿木用土か、赤玉土鹿沼土の小粒を単用。土は濡らしておく。庭の場合は半日陰の風通しの良い所で、肥料分のない土に。 

挿し穂作り先端を使う天芽ざしとあまり太くない枝の中間部分を使う管ざしがある。枝の長さは10~15cm位。挿し穂は1~2時間位水を吸わせる。節の下1cmをカッターナイフで斜めに切る(カッターナイフの利用は切り口を細菌防止と組織破壊を防ぐため)。水分の発散を防ぐため葉を2枚だけ残して全て切り落とす、その葉も大きければ半分にカットする。 

挿し方とその後の手入れ 挿す際は割り箸で穴をあけ、切り口をつぶさないように。深さは3㎝位で、挿し穂が風や水やりで動かないよう指で軽く押さえる。鉢の場合、縁に沿って挿すと枝が固定されるためか、成績が良いようだ。

(アジサイには必要ないかも知れないが、発根剤・ルートンを挿し穂に付けて挿すと更に成績良好)

◎ 水は1週間ほど毎日、葉と土を湿らす程度にやる。受皿に水が少々たまっている状態。葉がしおれている時や 晴れて気温が高い時は、霧吹きが有効。その後は自力で吸い上げるので程々に。1ヶ月ほどで活着する。 

植替と土 植替えは、根が未だ柔らかいので、秋の彼岸、もしくは翌年の3月頃に。(植物全般の植替えや移植は2/下~4/上が適期)。鉢土は赤玉小粒5、鹿沼土2、腐葉土3の割合、又は市販のブレンドしたもの。青花には鹿沼土やピートモスなどの割合を増やす。赤花には、苦土石灰草木灰などを加える。ピンク、白花には反応しない。 

花殻切りと剪定 花殻切りは、遅くとも7月下旬までに。花から2~3節下の葉の上で切る。花を付けなかった枝は、短ければそのままに、高く伸びていれば花殻切りと同様に。花芽の形成開始は気温が18℃を下がる10/中~11/上頃から、切った直ぐ下の1~3節毎に2芽ずつ形成される。それ故、深く切ったり、秋以降に剪定すると花を付けない。また一番上の花芽は霜に当たるとほぼ枯れてしまう。

◎ 一方、7月の花殻切りをせずに冬枯れまで花の変化を楽しみ、かつ翌年咲かせる方法がある。京成バラ園の村上氏の話によると、2~3節上の脇芽を爪で全て欠いておく。すると下の芽が膨らんできて、翌年花を付ける。葉が 多く残るので枝も充実する由。この方法を用いて咲かせた市販品もある。是非お試しあれ。

◎ 《アナベルは新枝咲きなので、いつ、何処で切っても春に伸びた枝に花を咲かせる。花後早くスッキリさせたいなら、葉を残して全体の半分を剪定。もしくは3月頃、膨らんで来た芽の上で剪定する。花数を多くしたいのなら地際から30cm位に、小さく育てたいなら10cm位に。.(大変丈夫な品種であるが、大き過ぎる花は、雨で茎が支えきれず曲がってしまう難点があるので、支柱を立てて周りを紐で結んでおくと良いだろう。》

◎ 株全体を低くしたい時は、翌年の花を諦めて、根元から20㎝上の所でバッサリと刈る。程々に咲かせたいときは、軸の青い花芽の付いた枝を残して、他は中間位の所で切る、但しこれはまた直ぐ大きくなる。株を透かす方法は、2~3月に青い元気な枝や丸く大きな花芽のある枝だけ残して、細い枝や太く木質化した枝をまぶく。

 

青色アジサイと肥料の関係 肥料も何も加えていない青色アジサイには目を見張る美しさがある。青色アジサイの肥料特に注意が必要で、一般に市販されている化成肥料は与えない方がよいかも知れない。青色はカリが効いて寝ぼけたピンク色になってしまう。コンクリート壁の隣や、横の植物に与えた化成からも影響されるほど敏感で、そのようなアジサイがあちこち見受けられる。土がアルカリ化して赤くなってきたら、鹿沼土やピートモスなどを追加するか、硫酸アルミニューム(漬物用ミョウバン)の500~1000倍液を根元に3月~6月に20日間隔で施す。ピンクや白色には肥料影響がない。

植物全般に与える肥料は、3月中・下旬。土にとっては有機肥料が最良。少々高価だが、緩効性の固形肥料・マグアンプK(N・P・K・Mg=6・40・6・15)はお薦め、花つきが非常に良くなる。また花後、お礼肥として肥料を。 

害虫対策  アジサイにはあまり虫は付かないが、一般の害虫対策としては株元をきれいにし通風を図ること。殺虫剤としては、オルトラン顆粒が便利。但し、根や葉から吸収されて効果が出るまで日数を要するので早め投与。効果は2~3週間、また1.5m以上ある木への吸い上げは無理な模様。アブラムシは光るものを嫌うらしいので、金銀のテープやアルミホイルを巻きつけてみるのも。晩夏~秋、コガネムシが植木鉢に好んで産卵し、根の養分を吸い上げるので、オルトラン顆粒を散布しておく。株元からオガクズが出ていたら、果樹やバラの大敵・カミキリムシの疑いあり。幹の芯を食べて成長するのでダーメージ大、ピンで指すか、オルトラン等の原液をピポットで注入する。梅雨の初め頃出て来た成虫は補殺するしかない。未だこの虫の効果的な対策法が見つからない。梨農家は一日に4回見回るとか。