長唄 「菊づくし」
歌詞
1 園(その)に色よく咲きし菊づくし 2 黄菊 さえやい 白菊 菊合せ 菊合せにしよかえ 3 花の一(ひと)枝(え)の盆踊り |
解説
この踊りは、初代・花柳寿輔が屏風にあった唄を杵屋作十郎に作曲してもらい、古典舞踊を習う時の手ほどきに教える入門用にしたものと言われています。
花柳流では子供の手習い曲として踊られることが多く、日本舞踊の基本の型を学ぶのに最適な曲として年齢を問わず学ぶ機会の多い曲です。菊の花があしらわれた花笠をかぶり、さらに両手に持って踊ります。
安永四年(1775年)9月の江戸森田座で、初代中村のしほの演じた四季の所作事『袖模様四季色歌』(そでもようしきのいろうた)の内の「秋 都大踊」がこの『菊づくし』に当たります。ここでは秋の菊花と菊模様の着物の2つを織り込んいるようです。
ませ垣:竹や雑木の小枝などで目を粗く編んだ垣根。ませ。
菊流し:流れる水に菊の花をあしらった模様。
菊合せ:菊の花の美しさを品評して優劣を競う。菊くらべ。
東菊:キク科の多年草「都忘れ」の別名。
花の一枝:文字通りに解釈するか、一枝花と解釈すると、器量が大変美しい意味にとれます。
勇んで:張り切って。元気に。
仕出し:工夫、趣向を凝らすこと。装い。おしゃれ。