アジサイの育て方と増やし方

雨に濡れたアジサイの美しさには心打たれるものがあります。アジサイはあまり手を加えなくても良く育ちますが、他の植物全般に関することも加えながら、少し詳しく説明します。

 

 アジサイの育て方 

植替時期と土 

植替えは、9/中~10/中旬、もしくは2/下~3/中旬頃。 路地植えの場合、そのままでも良いが、青色を保ちたい時は鹿沼土や調整ピートモス(PH4.5~5.5)等を加える。更に手を加えるならば、硫酸アルミニューム(漬物用焼ミョウバン)の500~1000倍液を根元に3月~6月に20日間隔で施す。赤色には、苦土石灰草木灰などを加える。ピンクや白花には反応しない。鉢植えの土は赤玉小粒5、鹿沼土2、腐葉土3の割合。ちなみに市販品の青色用土のPHは5.5、赤色用土のPHは6.5に調整されている。 

 

花殻切りと剪定 

アジサイは花期が長いが、花殻切りは、遅くとも7月下旬までに(装飾花が裏返る)。花から2~3節下の葉の上で切る。花を付けなかった枝は、短ければそのままに、高く伸びていれば花殻切りと同様に。花芽の形成開始は気温が18℃を下がる10/中~11/上旬頃から、切った直ぐ下の1~3節毎に2芽ずつ形成される。そのため深く切ったり、秋以降に剪定すると花を付けない。また一番上の花芽は霜に当たるとほぼ枯れる。(一般的な花殻切りや剪定は、花が終わったらすぐに切る)

◎ 一方、7月の花殻切りをせずに冬枯れまで花の変化を楽しみ、かつ翌年咲かせる方法がある。京成バラ園の村上氏の話によると、花首から3節下までの脇芽を爪で全て欠いておく。するとその下の芽が膨らんできて、翌年花を付ける。葉が多く残るので枝も充実する由。是非お試しあれ。

◎ 株全体を低くしたい時は、翌年の花を諦めて、根元から20㎝上の所でバッサリと刈る。程々に咲かせたいときは、軸の青い花芽の付いた枝を残して、他は中間位の所で切る、但しこれはまた直ぐ大きくなる。株を透かす方法は、2~3月に青い元気な枝や丸く大きな花芽のある枝だけ残して、細い枝や太く木質化した枝をまぶく。

 

花色と土・肥料の関係 

日本の土壌や水には、アルミニムが豊富に含まれている。アルミニムは酸性土壌では水に溶けやすく、逆にアルカリ土壌では溶けにくい。日本は雨が多く、基本的に酸性土壌(PHは平均5.5~6)である。従って、自然の状態における露地植えアジサイは,青花となる。しかし根が水分を吸収する度合いが一様でないため、同じ株の中でも枝により花色が微妙に異なってくる。 

◎ 花色変化のマカニズムは複雑で、酸度調整だけでは思い通りの色になるとは限らない。土壌中のpH(酸度)のほかに、品種の特性(青系・赤系品種)、土壌中のリン酸含量、水分量が影響する。青色について、リン酸濃度の高い肥料を与えると、アジサイの根がアルミニムを吸えなり、青色が出にくくなる。また土壌の水分が少ないと、アルミニムが溶け出しにくくなる。

◎ これらと逆の関係で、アルカリ・弱アルカリ・中性土壌では、アルミニウムが溶けないのでピンク色になる。ちなみに、コンクリート壁隣や、横の植物に与えた肥料に影響されたと思われる、寝ぼけたピンク色のアジサイがあちこちに見受けられる。濃い赤色にしたければ、石灰やリン酸濃度の高い肥料を追加する。 

◎ 濃い紫色にしたければ、青色系品種をアルカリ土壌に、ピンク系品種を酸性土壌にする由。これが大変美しい。

◎ 肥料(2/下~3/下旬頃)については注意が必要である。元肥として、赤色には骨粉や魚粉を含む固形油かす(N.P.K:4-8.5ー0.5)を、青色は骨粉や魚粉を含くまない固形油かす(N.P.K:3-7ー4)を、庭植えなら1株に100g、鉢なら10gを2~3回与える。有機合肥料も5-5-5位のものが良いだろう。参考までに、市販品のアジサイの青色用肥料のN.P.Kの割合はメーカーにより4-7-7或いは6-8-5に調整。赤色用肥料のN.P.Kの割合は3-4-6,或いは5-12-5に調整されている。

 

水揚げ方法  

アジサイは水揚げが悪く、茎を水の中で切る「水切り」だけではあまり水を吸い上げないので、茎の下を十文字状に切るか、茎を軽く叩いて潰す。もしくはコンロで茎を炭になるまで焼いてから花瓶にさす。(この方法は桜など花木を生ける時も同様)また、花瓶の水を冷たく保つために、保冷剤を入れておくと良い。              

一般の害虫対策  

アジサイにはあまり虫は付かないが、一般の害虫対策としては株元をきれいにし通風を図ること。殺虫剤としては、オルトラン顆粒が便利。但し、根や葉から吸収されて効果が出るまで日数を要するので早め投与。効果は2~3週間、また1.5m以上ある木への吸い上げは無理な模様。アブラムシは光るものを嫌うらしいので、金銀のテープやアルミホイルを巻きつけてみるのも。晩夏~秋、コガネムシが植木鉢に好んで産卵し、根の養分を吸い上げるので、オルトラン顆粒を散布しておく。

◎ 株元からオガクズが出ていたら、果樹やバラの大敵・ゴマダラカミキリムシの疑いあり。成虫は6~10月にかけて200粒ほどの卵を産み付け、幹の芯を食べて成長するので被害甚大。幹の穴にピンを指すか、オルトラン等の原液をピポットで注入する。梅雨の初め頃出て来た成虫は補殺するしかない。未だこの虫の効果的な対策法が見つからない。我が家では今年・6~7月に60匹余を補殺したが、とても追いつけない。以前は知らないため数本のバラを枯らした。今年も元気のないバラが゙出てきた。梨農家は一日に4回見回るとか。

◎ 菊の先端が折れて曲がっているのは、キクスイカミキリムシの仕業で、菊の茎に5ミリほどの間を置いて2本の平行線をつけ、その中に卵を産み付る。幼虫時に茎のズイを食害し、根の部分で越冬する。現在は卵が植え付けられた茎の部分をハサミでカットしている。

 アジサイの増やし方  

挿木の時期と場所 

梅雨時・5/下~7/初旬。先端を使う天芽ざしとあまり太くない枝の中間部分を使う管ざしがある。枝の長さは10~15cm位。挿し穂は1~2時間水を吸わせる。節の下1cmをカッターナイフで斜めに切り、切り口の細菌防止と組織破壊を防ぐ。また水分の発散を防ぐため、葉を2枚だけ残して全て切り落とす、その葉も大きければ半分にカットする。

◎ 鉢なら浅鉢か3号ポットに。 (1号は直径3㎝) 小さめの方が根の回りが早い。市販の挿木用土か、赤玉土鹿沼土の小粒を単用。土は濡らしておく。庭の場合は半日陰の風通しの良い所で、肥料分のない土に。

 挿し方とその後の手入れ 

挿す際は割り箸で穴をあけ、切り口をつぶさないように。深さは3㎝位で、挿し穂が風や水やりで動かないよう指で軽く押さえる。鉢の場合、縁に沿って挿すと枝が固定されるためか、成績が良いようだ。(アジサイには必要ないかも知れないが、発根剤・ルートンを挿し穂に付けて挿すと更に成績良好)

◎ 水は1週間ほど毎日、葉と土を湿らす程度にやる。受皿に水が少々たまっている状態。葉がしおれている時や晴れて気温が高い時は、霧吹きが有効。その後は自力で吸い上げるので程々に。1ヶ月ほどで活着する。

◎ 植替えは、根が未だ柔らかいので、秋の彼岸、もしくは翌年の3月頃に。

 

 備 考: 

花付きを良くする肥料 

植物全般に与える肥料は、2月下~3月下旬頃。土にとっては有機肥料が最良。少々高価だが、緩効性の固形肥料・マグアンプK(N・P・K・Mg=6・40・6・15)はお薦め、花つきが格段に良くなる。また花後、お礼肥として肥料を与える。